「国葬」に関する公文書は、明らかに歴史資料として重要な公文書に該当します。しかし、安倍元総理の国葬では、招待者名簿が黒塗りで開示されたことで情報公開の重大問題となっています。また、近年、森友学園問題や日航機123便墜落事故、神戸連続児童殺傷事件など、明らかに歴史資料として重要な公文書の不適切管理の問題が頻発しています。森友学園問題では省ぐるみの公文書改ざん、日航機123便墜落事故では公文書の保存・公開の在り方、神戸連続児童殺傷事件では公文書そのものの廃棄が、それぞれ問題となっています。これらはみな歴史資料として重要な公文書をどのように保存し、公開していくかという問題ですが、保存から全くなっていないのが我が国の現状です。
一方、歴史資料として重要な公文書の保存と利用については、基本法である公文書館法や国立公文書館法が制定され、国立公文書館の施設の充実が進められているところです。公文書館を設置し、歴史資料として重要な公文書を適切に保存・公開する仕組みを整備することは、主権者である国民の知る権利に奉仕することにつながります。また、それは民主主義の原理に基づく「行政監視」を強化します。公文書館法は参議院の議員立法で、良識の府である参議院を象徴する文化立法ですので、「行政監視」を参議院の役割として捉える観点から、「参議院に国立公文書館を置く」とするのも一案であると考えます。
なお、公文書館法は、1987年、岩波二郎参議院議員の強力な指導の下、議員立法として検討され、参議院法制局が法律案の作成を補佐して出来た法律ですが、担当職員が執筆した解説文には、次のようにあります(※)。
「本法は、公文書等を歴史資料として保存し、利用に供するためには公文書館の設置が最適な方法であると考え、それを促進しようとするものである」
※荒井達夫『公文書館法』法令解説資料総覧74号54頁PDFファイルを表示今日、公文書館制度は、「行政監視」と国民の知る権利という憲法的視点から改めて評価する必要があるというのが、荒井達夫の考えです。